斉藤隆夫名誉教授の来社

私の名古屋大学時代のゼミの指導教官は、斉藤隆夫名誉教授です。

斉藤名誉教授は、「会計学の父」といわれるシュマーレンバッハの日本における直系孫弟子にあたる会計学の大家で、すでに名古屋大学を定年で退官されています。

その斉藤名誉教授が、平成23年4月4日に、私たちの事務所にいらっしゃいました。

来訪の目的は、私の経済学博士の取得のお祝いでした。

最初は、私の事務所のこと、ゼミの同級生の近況のこと、学生時代のこと等の世間話でしたが、

最後に「君の論文、読ませてもらったよ。感想を言わせてもらってもよいか?」と言われました。

そして、斉藤名誉教授の顔が、柔和の老人(昭和3年生まれなので・・)の顔から、

学生時代の怖い指導教官の顔に変わりました。

斉藤名誉教授のコメントは、次のようなものでした。

・会計が実学である以上、実証分析は意味がある。

・しかし、学術論文である以上、実証分析の前に、「今回の実証分析で導入した管理会計のツールが、一般論として実務にどのような効果を与えるのか」についてのゼネラル・ストーリーが必要である。

・論文の構成としては、「ゼネラル・ストーリー→実証分析→知見」とすべきである。

・本として出版するのであれば、この点を改善すべきである。

そして、最後に「是非とも、私が生きているうちに、本を出して下さい。」とおっしゃって下さいました。

斉藤名誉教授がおっしゃるとおりです。

私の論文は、「管理会計ツールを導入した結果、どういう成果が出るべきなのか」、ということについての論述が欠落しているのです。つまり、明確な尺度を持たないまま、「成果が出た」「成果が出なかった」と言っているのも同然なのです。

我が国の会計学の大家が、わざわざ私たちの事務所までおいで下ったことに感激したことはもちろん、すばらしいご指導を頂いたことについても大感激しました。

つくづく、恩師に恵まれて幸せであることを感じた一日でした。

そして、斉藤名誉教授にご指導頂いた点を改善して、良い論文を書くことが、斉藤名誉教授への最大のご恩返しであると、強く思いました。