日本の財政は持続可能か?

昨日(平成23年12月7日)、我が事務所のクライアント交流会「双肩」が開催されました。

今回のメインイベントは、名古屋大学経済学研究科の小川光教授のご講演です。

演目は「日本の財政は持続可能か?」です。

講演の要旨は次のようなものでした。

・日本の国債発行の現状は、税収に比べた残高が過大であり、過去の水準、国際水準からみて極めて危険な状況である。

国債残高について、マスコミでは「素朴な悲観論」と「素朴な楽観論」があるが、多くは一面的で、財政学的には必ずしも正しくない(あまり鵜呑みにしないこと)。

国債には「良い国債」と「悪い国債」がある。日本が最近発行する国債は、「返済のあてのない」悪い国債である。

・財政が持続できるかどうかには、「ドーマー条件」と「ボーン条件」の2つの考え方があり、この理論によれば、日本は危険水域に来ているというのは間違いない。

・危険水域にいながら、現在の財政が安定しているのは、国債の多くを国内で消化していること、民間の増税余地(国債償還の原始)が大きいことの2点である。

・歴史的な事例では、国家が破綻した場合は、「インフレ→通貨安→輸入減少→原材料高騰」、「信用低下→金利上昇→民間投資環境悪化」、「公務員給与削減+公共サービス削減」が起きる。

・歴史的な事例では、国家破綻からの回復は、「通貨安→輸出の拡大→国内経済の回復」と「公務員減少と公共サービス削減による財政改善」による。

そして、小川教授の「財政再建をどう進めるか?」の結論は以下のとおりです。

財政再建は、過去の成功事例から「財政改善7:歳入拡大3」の割合がよい。

・財政改善は、聖域なき(特に社会保障歳出削減をすべき。

・歳入拡大は、消費税の引き上げを行うべき。

・消費税引き上げに伴う景気への悪影響は、「消費税の段階的増税」による消費の先取りでカバーする。

 ヨーロッパ経済が危機的状況にあり、何が引き金になるかわかりません。「金利上昇」という現象が起き始めたら、一気に財政破綻への道だそうです。我々は、現在の経済と将来世代への負担を守るために、財政破綻を避ける最大の努力をすべきです。

 日本の政治家は何をやっているのでしょうか?