中小企業の究極の組織

今日は、メインバンクの絶大な支援の下、経営改善活動に真剣に取り組んでいるクライアント2社を訪問しました。「真剣だと知恵が出る」とはよく言ったもので、偶然にも2つの会社で、同じような興味深い組織改革が行われようとしています。この組織改革について、私の考えをまとめてみたいと思います。

会社の組織は、営業部、製造部、総務部、経理部といった具合に、業務内容によって縦割りの組織になっています。会社の業績が厳しくなった時、業務改善やコストダウンは、これらの組織単位で行います。しかし、そろそろコスダウンも限界で、いくら売上が低下しているとは言え、これ以上コストダウンをすると、事業自体が縮小均衡してしまうと思える時があります。こういった閉塞状況下で、一層のコストダウンや業務改善をして、利益を出すためにはどうしたらよいのか?

その一つの突破口が、「縦割り」組織にありました。つまり、「縦割り」の組織を思い切って流動化させるのです。具体的には、各部署間の垣根をグッと低くして、人材のやりとりを活発化し、相互に業務を助け合うのです。「縦割り」組織の流動化の効果は、次のような点です。

①各部署ごとに必要人数まで人を減らしても、必ず多少の手待ち時間は発生します。そのわずかな時間を他部署の業務支援に回せば、助けてもらった部署では、新たに人を採用をしなくてもたくさんの仕事がさばけます。

②各部署ごとにベストと思っていた業務の流れも、前工程や後工程の部署と一緒に悩むと、新鮮な発想で、今まで以上の業務改善案が生まれます。

③「縦割り」組織にありがちな責任の押し付け合いが薄くなり、会社の一体感がでます。

私たち中小企業は、各部署の業務が大企業ほど高度に専門化していませんので、この「縦割り」組織の流動化は、本気になれば、意外とカンタンに導入できるのではないでしょうか。しかも、全社員で営業をしたり、全社員で製造を手伝ったり、楽しそうですよね。「縦割り」組織の流動化は、これから予想されるもう一段の景気悪化に対する私たち中小企業の成功の鍵かも知れません。

以上