経済学博士号の授与について
今日は、私のことについてご報告をさせて頂きます。
平成23年2月16日に開催されました名古屋大学経済学部の教授会において、博士号を授与して頂けることが正式に決まりました。
名古屋大学の博士課程には平成18年4月に入学し、平成22年3月に博士論文の審査だけを残して修了しました(これを「単位取得満期退学」と言います)。
今回、博士論文の審査が終わり、晴れて経済学博士号の授与となったわけです。
正式には、3月25日の授与式の日の授与と言うことになりますが・・・。
博士論文のタイトルは、「我が国の中小企業再生における管理会計の導入」です。
内容は、私たち稲垣公認会計士事務所が、地域金融機関と一緒に取り組んでいる、業績不振会社に対する経営改善活動の支援業務の事例研究です。
経営改善活動の支援業務では、経営改善計画の立案を行うとともに、
・原価計算システムの導入
・予算制度の導入
・キャッシュ・フロー計算書の作成等
の管理会計システムの構築、運用サポートをします。
しかし、私たちの経験では、同じように経営改善活動を行っても、管理会計システムを構築し、そのシステムが作り出す情報を有効に利用し、その結果として業績が回復する会社とそうでない会社がでてきます。
私は、なぜこういった差が生じるのかを明らかにするために、管理会計を有効に導入できた会社とできなかった会社の事例を通して、
「どのようなプロセスを経て構築をしたのか?」
「どのように利用したのか?」
「何が、導入を促進したのか?」
「何が、導入を阻害したのか?」等
の、管理会計導入の促進要因と阻害要因を整理しました。
そして、その上で、中小企業再生の局面における、管理会計導入のあり方について考察しました。
会計は実学ですので、実務に役立つ研究をすることが重要だと思います。
私は、今回の論文の作成を通して、会計の研究分野では、研究者自らが実務で行った経験を研究対象としているものが非常に少ないことを知りました。
そういった意味では、私のような事務家が研究を行い、論文として発表し、それを実務で活用していくことは意味があることではないかと思います。
これからも、会計の実務家として、実務に役立つような研究をすることができればと思っています。
末筆になりましたが、修士課程までの恩師である齊藤隆夫名誉教授、博士課程の指導教官である木村彰吾教授、そして博士号取得をご支援・ご協力して下さった方々に、この場を借りまして厚く御礼を申しあげます。