「リーマン予想」の魅力と不安

 クライアントの社長のおすすめで、NHKスペシャルリーマン予想 天才たちの150年の戦い」のDVDを見ました。

リーマン予想」とは、数学史上最大の難問と言われているテーマであり、同じ「リーマン」でも、2008年に破綻したアメリカの名門投資銀行リーマン・ブラザーズとは全く関係はありません。

 1859年に天才数学者ベルンハルト・リーマンが、素数(1とその数字以外では割り切れない数字)の規則性を明らかにしようとしましたが、結局、結論は得られませんでした。そして、研究途中の成果から、「ゼータ関数の非自明的なゼロ点は、すべて一直線上にあるはずだ」という予想を立て、その立証は後世の研究者に委ねました。その予想が正しければ、素数の規則性は、自然界の構成要素であるπとeに関係があるということを意味します。これが、「リーマン予想」と言われるものです。

 この予想を立証しようと、世界中の学者が格闘しているのですが、今日現在、未だ解決に至っていません。ニュートン以来の天才と言われたゴッドフレイ・ハーディとジョン・リトルウッドノーベル経済学受賞のジョン・ナッシュ(「ナッシュ均衡」で有名ですよね)、第2次世界大戦でドイツの暗号を解析し、イギリスを勝利に導いた天才数学者アラン・チューリング等が、この問題に挑みましたが、研究途中で、挫折、精神病、自殺といった末路に至っているそうです。このテーマが、いかに深淵なものかということを想像させます。

 150年間の論争の結果、現在では、素数の規則性は、自然界構成要素の中心である原子核のエネルギーの規則性と類似していることが判明したそうです。これは、素数は自然界と何らかのつながりがあることを証明するものであり、「素数の新時代」に入ったことを意味するそうです。最近では、素数の規則性を説明するロジックが、量子物理学を乗りこえて、万物の理論の基礎になるのではないかと言われています。森羅万象を説明する万物の理論は、創造主による宇宙の設計図です。「リーマン予想」を解いた際には、そこまでが明らかになるのではないかと言うのです。

 多くの天才たちを挫折や自殺に追い込んだ「リーマン予想」という難問は、宇宙の設計図まで解き明かしてくれるような途方もなく壮大なもののようです。この番組を見て、「リーマン予想」が解き明かされたときに人類が手にするものの大きさに胸が高まる一方で、万物の中に神や仏を見いだす我々日本人の感性からは、そこまでロジカルに明らかにならない方が良いものもあるのではないかという不安も感じました。そして、この知識が、ウラン等の原子核の悪利用による恐るべき兵器の開発につながり、ハルマゲドンが起きなければよいなと強く思いました。