ライバル会社同士の業務提携

昔から、同じ地域で、それも同じ業種同士で競争してきたライバル会社が、お互いのメリットのために業務提携をした事例をご紹介します。この提携は、稲垣会計が仲人として、両社にテーブルについて頂いた大変に興味深い事例です。

両社は、日本の経済成長期に、同業として、同じ地域で業況を拡大してきました。経済が拡大しているのですから、それぞれ既存のお客様の成長と新規のお客様獲得により業績を伸ばしてきました。しかし、昨今の経済状況下で、市場規模が成熟、そして縮小する中、両社の業績は従来のようなわけにはいきません。それどころか、気づいてみたら、近隣エリアに本拠を置く、新興勢力に、どんとんとシェアを食われている状況でした。また、両社の業績は、固定費の増加と新規営業活動の不足による売上の伸び悩みで大変に苦しい状況です。

両社は、それぞれの所有する機械設備により、得意の製品ラインが異なります。また、得意の製品ライン以外の製造については、両社ともに、それぞれの外注先に頼っています。しかし、冷静に考えてみると、以下のことがわかりました。

・両社が使っている外注先は、昔からの慣習で選定されており、特にそこを利用しなければならない積極的な理由はない。

・両社が現状、外注先に出している製品の内容は、それぞれ、ライバル会社の設備を用いれば生産が可能であるものが多い。

・両社の現在のお客様は、業務内容やエリア等で、おおむね棲み分けができている。

つまり、両社が、それぞれ市外の外注先に出している業務を、ライバル会社へ依頼することで、この2社の売上増加が見込めます。また、現在は、両社のお客様は棲み分けができており、両社の共通のライバルこそは、市外の新興勢力です。両社が、相互に仕事を出し合い、業務内容について役割分担をし、共通の敵に対峙することは、極めて経済合理性があるわけです。しかし、昔からの既成概念により、「提携なんて、ありえない。」と頭から決めつめていたところ、稲垣会計の仲介で両社がテーブルについたというわけです。

この事例は、まだまだテーブルについたところで、今後の成果は「まだまだこれから」という状況です。しかし、100年に1度の経済危機の後、ダイナミックな経済構造の変革が予想される中、従来の延長線上で物事を考えていてはいけない、頭を柔らかくして、いろいろな選択肢を考えなければならないという意味で、大変に興味深い事例であると思います。

この事例が、地域の中小企業の経営戦略の成功例になるように、私たちも一生懸命に応援をさせて頂くつもりですので、みなさんも、この事例の今後の行方にご注目下さい。また、このブログでご報告をしたいと思います。

以上