地域金融機関のトップの励まし

先日、稲垣会計のクライアントで、メインバンクである地域金融機関(以下、A信用金庫と言います。)の絶大な支援の下、企業再生活動を行っている会社(以下、B社と言います。)の役員会議で、非常に感動した出来事がありましたので記録に残したいと思います。

この役員会は、月に1回開催されています。内容は、業績と計画の対比、資金繰り状況、今後の見通し等について、詳細かつ徹底的に議論されます。出席者は、B社の全役員、A信用金庫の支店長と融資担当者、そして稲垣会計(稲垣と担当者)です。トヨタショック以来、B社の業績は厳しく、この会議でのメインバンクの発言も厳しくなりつつありました。B社の社長も、「A信用金庫は、どこまで支援してくれるのだろうか?」と疑心暗鬼になり始めた頃でした・・・。

そんな状況の中、今月の役員会議が始まろうとしたその時、A信用金庫のトップ(以下、C会長と言います。)が突然現れたのです。「今日は、時間の調整ができたので、久しぶりに参加させて頂こうと思って。」とのこと。もともと、C会長は、以前、融資担当役員として、B社の企業再生活動の積極的な支援を決定・推進された方でした。そのような方が、今月の会議に参加されるということで、全参加者の緊張感は高まりました。参加者は、「これ以上の支援は難しい・・・。」、「金利を上げさせて欲しい・・・。」と言った、私たちにとって最悪の事態まで連想しました。

しかし、C会長の口から出た言葉は、「凄くがんばっていますね。」、「我が信用金庫の経営にも参考になりました。」といった励ましや、「この点は、こうしてみらたらどうでしょうか?」「なぜ、こういう手を打たなかったのですか?」といった真剣なアドバイスばかりでした。その上で、稲垣会計の支援体制や作成資料についても、大変なお褒めの言葉を頂きました。

会議後、この会議に参加した全員の気持ちは一つでした。「絶対に、成果をだすぞ!」「みんなで頑張ろう!」

金融機関は、営業店などの現場では、立場上厳しいことを言わなければならない場合もあるでしょう。今回は、そういう中で相互の信頼関係を確認するために、トップ自らが、直接、貸出先である中小企業に、メインバンクとしての支援姿勢を見せて下さった素晴らしい場面だったと思います。メガバンクと地域金融機関の役割分担が問われる時代で、私たちは、A信用金庫の「志」や経営理念に触れた気がしました。

私は、この出来事に接し、トップの言動の重要性と、稲垣会計は、今まで以上に全身全霊で、地域金融機関と一緒に中小企業の財務支援を行っていこうと再確認、再覚悟することができました。

以上